考える力を伸ばす方法、すなわちお子さんの頭を良くする方法を説明します。聖徳学園では今までの50年間の英才教育の実践を元に考える力が伸びている子どもたちの共通点を研究してきました。
考える力を伸ばす方法、すなわちお子さんの頭を良くする方法を説明します。聖徳学園では今までの50年間の英才教育の実践を元に考える力が伸びている子どもたちの共通点を研究してきました。あなたのお子さんにもぜひ試してみてください。
聖徳学園小学校・幼稚園・英才教室
校長・園長・室長 和田 知之
知能を伸ばすために、大事なもの1
知能とは
1. 知識を習得する力
知能を伸ばすことにより、多くの知識を無理なく習得する能力。
2. 知識や技能を活用する力
学習によって習得した知識や技能を適切な場面で活用する能力。
3. 洞察力・総合的判断力
情報を的確に処理し、状況を判断していく能力。
知能をこの3種類の能力に分類しています。
「1. 知識を習得する力」に関しては、能力が十分でなくても努力をすることで補うことができます。ただし、インターネット上の検索エンジンがこれだけ発達していますので、知識を脳に記憶しておくこと、脳から引き出すこと、これらの価値は、相対的に低くなっています。
人がGoogleやYahoo!以上に知識を習得することはできませんし、必要もないと言うことです。
2番目の「2. 知識や技能を活用する力」はいかがでしょうか。この能力を努力で補いきれるかどうかというと難しいと思います。活用するという点では、知識を引き出した後に、どうしていくかということになります。今までの経験を活用したり、試行錯誤をしながら考えますが、ベストの方向に進めるか、見当違いの方向に進んでしまうかはその人の思考力次第なのです。
3番目の「3. 洞察力・総合的判断力」についてはとても高度な思考が必要とされます。知識や技能を最適なものを抜き出し、多角的に分析したり、組み合わせて使うことがこれにあたります。新しい問題に直面した時に、いかに解決していくか、この力が必要になります。テストでは計れませんが、生活の中で多くの場面で必要になります。
例えば次のようなときです。将棋やオセロの次の手を選ぶとき。のび太がお母さんに0点を告白するとしたら、どんなときにするのがいいのか考えるとき。会社を独立するのがいいのか、それともしないほうがいいのか、判断するとき。これらの洞察力・総合的判断力・発想力・創造力などは、コンピュータができない、今後の社会で一番求められていく力といえます。
知能は幼児期に急速に伸びる
知能伸ばしていくポイントは幼児期にあります。一番、脳が若く、柔軟で、時間がある幼児期に、どれだけ考える力を伸ばしていくかが、その後の人生を左右します。英才教室に2年間通った年長児のデータを集めてみました。このデータからわかることは、多くの子供たちが幼児期に大きな知能の伸びを示していると言うことです。
子供たちは、多くの時間を幼稚園、保育園、そして家庭で過ごします。中でも過ごす時間が多い家庭での過ごし方がポイントになります。
それでは家庭で何を重視すれば良いのでしょうか?
意欲と集中力が基本
知能の伸びの良い子の特徴
- 意欲と好奇心が旺盛
- 集中力がある
- 粘り強さがある
まず最初に家庭で重視して欲しいのが意欲と集中力を大事にすることです。お子さんによってはお父さんやお母さんを質問攻めにして困らせる子供たちがいると思います。そのような知りたがる、聞きたがる子供たちは好奇心が旺盛で、何事にも興味を持っています。意欲がある子供たちは興味のおもむくままに遊ぶので、時間を忘れて遊ぶことが多いです。
集中力がありますので、こちらがおしまいというまで遊び続けます。また粘り強さがあるので簡単な遊びよりも、難しい遊びの方を好むということがあります。
では、どうやって意欲と集中力を育てていけば良いでしょうか?
知能を伸ばすために、大事なもの2
好きな遊びに熱中させる
- 遊びが学びそのもの
- 遊びを親がコントロールしない
- 遊びを発展させる
意欲と集中力を育てていくためには好きな遊びに熱中させることが必要です。大人にとっての遊びは楽しみや息抜き、ストレス解消です。しかしながら子供にとっては楽しいのは同じですが、遊びが生活そのもの。学びが生活そのものなのです。
遊びなさいと言われて遊ぶものではありません。そのため遊びの自主性を大事にしてください。
この遊びはやるべきではないと基本的に言わない方がいいでしょう。例えばお母さんは虫が嫌いだから虫を飼うのを禁止したり、砂場は服が汚れるからといって砂場遊びを禁じたりしないほうがいいと言うことです。このおもちゃは良いとか、この本は悪いとか言わない方が良いでしょう。そうしないと親のプログラムを消化するだけの遊びになってしまい、遊びの自主性が育ちません。
電車が好きな子どもは最初はおもちゃの車両を動かしているだけかもしれません。しかし、そのうちにレールを作る、レールを伸ばす、レールを一周させるなのにどんどん発展していきます。電車のおもちゃで遊ぶだけでは飽きたらず、電車に乗る、いろんな場所に出かける、電車が動く仕組みを調べるなど地理や理科の分野にも興味が広がっていきます。
それでは好きなものだけをやっていれば良いのでしょうか?
得意なものを伸ばす
- 好きなものを中心に伸ばす。
- 嫌いなものを無理矢理させない。
- 得意なものを伸ばしていく。
- 褒めて伸ばす。
好きなものを中心に伸ばすことが大事です。好きなものをやれば、自分から取り組みます。自分から取り組むと、意欲と集中力が出てきます。
よく嫌いなものはしなくてもいいのですか?と言う質問を受けます。バランスの問題もありますが、苦手なものや嫌いなものを補うというよりは、得意なものから伸ばす、好きなことから伸ばしていくようにしてください。物事を嫌いにさせるのは簡単です。逆に嫌いなものを好きにさせるのは至難の業です。
そして得意なものは自信がつきやすいのです。自分の得意だと思うものに対して、自信がつくと、それ以外のものにも波及していき、嫌いなものや苦手ものに対しても良い影響があります。ぜひ、年齢によって褒め方などを工夫して、子どもたちの得意なものを伸ばして下さい。
それでは、好きにさせるにはどうすればいいでしょうか?
興味を持たせる
- 好きになるきっかけを作ってあげる
- 好きなものができたら、しめたもの
- 親が興味を持つことが大事
子供たちに興味を持たせるにはどうすればよいでしょうか。色々なことに対して好きになるきっかけを作ってあげてください。
例えば動物園に連れて行ってあげれば、動物に興味を持つきっかけになります。昔と違って今は動物園も展示方法をかなり工夫をしています。
近所のペットショップに行くのも良いでしょう。犬や猫、鳥、魚に触れる機会になります。
子供たちは同じことをするのが安心なので、そして面白いことがわかっているので、「いつもと同じ遊びをしたい」と言ったり、「同じ本を読んで」とせがむことが多いと思います。その気持ちを尊重してあげるのと同時に、なるべく初めての体験をさせてあげてください。
新しいものを紹介するときに、さりげなさが大事です。とても面白いから紹介したいとか、親自身がしたいから、やりましょうと誘ってみて下さい。勉強みたいな事をさせたがっているなと思われないようにしてください。
また遊びに干渉しないことも大事な事です。虫に対して興味を持ち始めた時に、「足は何本なの?」とか、「目はどうなっているの?」と質問攻めにしたら、子供も興ざめして、興味を失ってしまいます。勉強臭さをなくす事に努めてください。
その事に対して親自身が好きだと、子供自身も自然に興味を持ちます。お父さんが望遠鏡を覗いて、なかなか子どもに譲らない。水族館でお母さんが子どもそっちのけで夢中になる。そのぐらいでいいのです。
子どもたちに興味を持たせるだけで良いのでしょうか?
知能を伸ばすために、大事なもの3
自分で解決する能力を育てる
- やってあげないで、自分でやれるようにする
- まずは自分でする習慣をつける
- 上手にできないのが、当たり前
- 取り組んだら、とにかく褒める
何事も自分でする習慣が大事です。親はアドバイスはするが、なるべく手を出さないようにしてください。アドバイスも事細かくするのではなく、質問があったらアドバイスをするとか、おおざっぱにアドバイスをする方が良いでしょう。
どんどん失敗もさせてください。失敗をすると物が壊れてしまったり、余計に時間がかかったりします。それでも挑戦意欲や主体性を育てていくためには、成功体験も大事ですが、失敗を恐れないことや失敗から学ぶ姿勢の方が大切なのです。
お子さんが失敗を恐れて、尻込みをしているようであれば、挑戦をすることが大事であることを伝えてください。何事も挑戦をしなければ失敗もしませんし、嫌な思いもしませんが、成長もしないのです。
もし失敗をしたら挑戦したことを褒めてあげてください。失敗することを怖がらせないでください。
そういう考え方が逆境に強い子に育てていきます。